欧州環境情報

2010年3月6日



海底ケーブル網の敷設へ −欧州9ヵ国−

ノルウェーの大半は水力発電によって電気を得ており、さら にベルギーやデンマーク沿岸には潮力発電施設もある。さら に英国沖とドイツ沖の風力発電施設や欧州大陸には太陽光発 電施設などが整備されつつある。

これらの再生可能エネルギーを海底ケーブルで繋ぐ計画があ り、ドイツ、ベルギー、オランダ、ルクセンブルク、デンマ ーク、ノルウェー、アイルランド、英国、フランスの9カ国 が、再生可能エネルギーの供給安定化に向けて各国の発電施 設を高電圧ケーブルで結ぶ方針で一致し、ケーブル網を建設 する計画が浮上。

計画では、総事業費は300億ユーロ(約4兆円)に達する見込 みで10年以内に完成を目指している。




生物多様性政策を提示 −EU−

2010年は国際生物多様性に関してスタートの年でもあり、名 古屋で会議が開催されうことになっている。それに先立ち、 欧州委員会は協議をしてその結果の協議文書を公表した。

欧州委員会は、2050年までの長期的なビジョンと2020年まで の中期的な目標について検討され、協議の結果、以下のよう な内容が示された。

1. 長期ビジョンでは、生物多様性や生態系サービスを保全・評価し、可能な限り修復を図る。
2. 中期目標は、以下の4つの選択肢が示されている。

  • 生物多様性や生態系サービスが失われるスピードを2020年までにEU域内で大幅に遅らせる
  • 生物多様性や生態系サービスの喪失を2020年までにEU域内で阻止する
  • 生物多様性や生態系サービスの喪失を2020年までにEU域内で阻止し、可能な限り回復させる
  • 生物多様性や生態系サービスの喪失を2020年までにEU域内で阻止し、可能な限り回復させる

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炭素税 (環境税)導入の義務付け? −EU−

欧州連合(EU)の欧州委員会は、加盟27カ国に対して、地球温 暖化対策として炭素税(環境税)の導入を義務付ける検討に入 った。

化石燃料の消費を減らすためにガソリン、軽油、石炭などに 課税していこうとするもので、炭素税に関しては、フィンラ ンドが1990年に最初に導入しており、今後、EU各国にさらに 広まる可能性がでてきた。




浸透膜発電施設が稼動 −ノルウェー−

特殊膜を使って、淡水と海水が混ざることによって発電する 浸透膜発電施設(膜は約2,000uの面積)がオスロから約60km の海岸で稼動を開始した。
2015年までに浸透膜発電の商用化をにらんでの実証プラント で、大きな課題は膜1u当たりの約1Wの発電能力。この能力 を5Wまで引き上げるのを目標にしている。

浸透膜発電による欧州における発電能力は、180 TWhが見込 まれており、温室効果ガスを削減するのを助ける一手段とな りうることで検討されている。世界では、浸透膜発電能力は 1,600〜1,700 TWhが見込まれており、この量は、EUで全体 の電気需要の約半分に匹敵するという。




マグロ禁止案にフランスが賛成へ −フランス−

欧州連合(EU)は、絶滅の恐れがある動植物の輸出入を規制 するワシントン条約(CITES =Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora) に、「クロマグロ」を対象として大西洋・地中海産クロマグ ロの国際取引を禁止すべきとのモロッコの提案に対して、ど う扱うかの検討が必要で、フランスは、このモナコが提案し た案を支持する方針が明らかになった。

2010年3月にカタールで開催予定の同条約締約国会議で、ク ロマグロ国際取引の禁止は投票国の3分の2の賛成が必要とさ れ、イタリアが最近禁止案の賛成国となり、日本は、世界の クロマグロの約80%を消費しており、取引禁止が採択されれ ば、日本のお鮨愛好家に大きな影響が予想される。